2024年11月26日(火)に第3回研究会が開催されました。
○ テーマ : 「企業の事業転換に関する多角的考察」
○ 日 時 : 2024年11月26日(火)16:00-17:45
○ 場 所 : 関西大学梅田キャンパス
○ 講 師 : 金井 一頼 氏(大阪公立大学特任教授)、金 泰旭 氏(近畿大学経営学部教授)
企業の事業転換に関する講演と討論の要約
- 金井 一頼教授の講演概要
カナイ教授は、地域企業の持続可能性と戦略的イノベーションについて講演を行い、事業ドメインの明確な定義が企業の資源と能力の活用に不可欠であると指摘した。ドメインの定義には「顧客のニーズ」「顧客層」「企業内資源と能力」の3つの要素が含まれる。また、事業環境の変化に適応するために、ドメインの柔軟な再定義とビジネスモデルの革新が必要であると述べた。
(1) 事例研究 ・HOP社:自然素材を活用した持続可能な建築モデルを導入し、地域の林業と連携したビジネスモデルを確立。 ・カンディハウス社:デザイン中心の戦略で高級家具市場に進出し、グローバル競争力を強化。
(2) 結論 地域企業のイノベーションには、地域社会との連携や外部専門家との協力が不可欠である。
- 金 泰旭教授の講演概要
金教授は、企業の事業転換プロセスについて日韓の比較分析を行い、持続可能な成長には市場環境の変化に柔軟に適応することが重要であると述べた。
(1) 事例研究 ・韓国のマークエニー社:DRM技術を基盤にデジタルセキュリティやAI監視システムなどに事業を多角化。 ・日本のツバキナカシマ社:セラミック技術を基盤に自動車・精密機械分野へ応用。
(2) 結論 日本企業は国内市場中心の成長戦略をとる傾向があるのに対し、韓国企業は初期段階からグローバル市場を重視する傾向がある。
- 質疑応答の要点
(1) 事業転換時の技術・人材の確保 企業は「オープンイノベーション」を活用し、外部ネットワークを通じて不足する技術・人材を補完すべきである。
(2) 企業の市場リーダーシップ 新規市場での成功には独自性と大胆なリーダーシップが必要であり、失敗を恐れない姿勢が求められる。
(3) 地域企業のグローバル進出 地域資源を活用したビジネスモデルの構築と、グローバル市場との接続が重要である。
- 結論と示唆
今回の研究会を通じて、日本と韓国の中小企業が市場変化に適応しながら成長する方法を探求し、以下の示唆を得た。
(1) 地域基盤とグローバル戦略の両立 地域資源を活かしながら、グローバル市場への展開を視野に入れた戦略的アプローチが求められる。
(2) 技術革新と柔軟性 技術の市場適用可能性を常に検討し、変化に対応できる柔軟な戦略が必要である。
(3) オープンイノベーションの活用 内部資源の限界を補うため、外部ネットワークとの連携を強化し、技術・人材を確保することが不可欠である。
本研究会は、中小企業の持続的成長戦略を模索し、日韓両国の企業が相互に学び合う場となった。




